知ってる?「看護師の言葉づかい」が与える患者の治癒率への影響

看護師

はじめに|“言葉ひとつ”が回復力を左右する?

看護師の仕事は、処置や観察だけではありません。
**患者と交わす「言葉」**のひとつひとつが、時に医療そのもの以上の力を持つことがあります。

「安心してください、大丈夫ですよ」
「心配ないですよ、みんなこうなりますから」
「痛い?我慢できるでしょ?」

これらの表現が、患者にとって癒しとなるのか、逆に不安を煽るのかは、言い方と文脈に大きく左右されます。

本記事では、最新研究をもとに「看護師の言葉づかいが、治癒率やQOL(生活の質)にどんな影響を与えるのか?」を解説し、
現場で役立つコミュニケーション術も紹介します。


🔍エビデンスでわかる!言葉と治癒力の関係

● 海外の臨床研究例(2023年・米国)

  • 手術を受ける患者300人を対象に調査
  • 「安心感を与える言葉」をかけたグループは、術後の鎮痛薬使用量が約25%減少
  • 回復にかかる入院日数も平均1.3日短縮

● 日本国内の事例(看護師協会報告)

  • がん患者に対する声かけの内容と治療満足度を調査
  • 「共感的対応」と「事務的対応」とで、治療への納得度が2倍以上の差

🧠 つまり、看護師の“言葉”には、患者の回復を後押しする生理的・心理的効果があるのです。


✅患者に安心を届ける「プラスの言葉」5つのポイント


1. 共感を先に伝える

✔ NG:「それはよくあることです」
✔ OK:「不安だったんですね。よく頑張りましたね」

“わかってもらえた”という感覚が、心理的安心のベースに。


2. 主語を「あなた」にせず、「一緒に」へ

✔ NG:「あなたが頑張らないとね」
✔ OK:「一緒に治していきましょうね」

孤独感を与える表現は避け、チーム感を意識した語りかけが◎。


3. 否定語より肯定語を選ぶ

✔ NG:「心配しないで」
✔ OK:「安心してくださいね」

脳は否定語をうまく処理できず、かえって“心配”にフォーカスしてしまう。


4. “言い換え”を活用して優しさを演出

✔ NG:「もうすぐ終わりますから」
✔ OK:「あと少しだけ、一緒にがんばりましょう」

患者に寄り添うニュアンスが自然と伝わる工夫を。


5. 沈黙の“間”も会話の一部と考える

→ 話しすぎず、患者が感情を整理する時間を尊重することも、良質な対話の一部。


🗣️「悪気のない言葉」が与える悪影響とは?


● ケース1:「こんなの、みんな我慢してますよ」

→ 我慢できない自分を責めさせてしまい、自己否定感を誘発

● ケース2:「先生がこう言ってたので」

→ 説明責任の放棄と受け取られ、信頼関係にひびが入る可能性

● ケース3:「はい、次の方」

流れ作業的な印象を与え、患者の孤立感や不信感が増す。

🧨 無意識の“言葉の雑さ”が、患者の不安や痛みを強めていることもあるのです。


👩‍⚕️看護師に求められる“言語的ケア”とは?

現代医療では、技術・知識・倫理と並んで「言語的ケア」が重要視されています。


● 言語的ケアの3原則

  1. 言葉は“ケアの一部”であるという自覚を持つ
  2. 患者の状態・感情に応じて表現を選ぶ
  3. 正確さより“伝わり方”を重視する

✨すぐに使える!患者対応フレーズ集(状況別)

状況推奨フレーズ例
不安な患者へ「ご不安なお気持ち、よくわかります」
痛みを訴えたとき「少しずつ楽になるように調整していきますね」
検査に緊張している「初めては不安ですよね。私もついてますから安心してください」
終了後の声かけ「お疲れ様でした。とてもよく頑張られました」

📌 言葉を変えるだけで、患者の表情が変わる瞬間があります。


まとめ|“看護の力”は、言葉に宿る

治療方針を決めるのは医師でも、
患者の心を支えるのは、日々寄り添い、言葉をかける看護師の存在です。

そしてその言葉が、
🧠 痛みをやわらげ
💬 不安をやわらげ
💓 治癒力を高めることが、科学的にも示されつつあります。

🎯言葉ひとつで、患者の人生も、看護師自身の仕事の質も変わります。
「伝える」から「届く」へ。今日からのひと言に、少しだけ“意識”を込めてみませんか?