看護師が知らないと損する「医療と法律」5つの落とし穴とは

看護師

はじめに|「医療と法律」は、現場にこそ関係がある

看護師として働く中で、「法律」はどこか遠い世界の話に思えるかもしれません。
しかし実際には、現場での一つひとつの判断や行動が、法的リスクに直結していることをご存じでしょうか?

  • 「患者に話した内容がトラブルに…」
  • 「手順通りにしたのに責任を問われた」
  • 「応急処置が違法になることもある?」

こうしたリスクは、“知らなかった”では済まされない問題です。

この記事では、看護師が知っておくべき**「医療×法律」の落とし穴を5つに厳選**し、事例とともにわかりやすく解説します。


⚠️落とし穴①:患者の同意なしの処置=傷害罪の可能性も?

● 背景

患者の身体に直接触れる医療行為には、法的には「同意」が必要です。

例えば――

  • 採血
  • 導尿
  • 薬の塗布

これらすべてが、同意なき実施で「傷害罪」に問われるリスクを孕んでいます。

● 注意点

  • 無言の同意(黙示的同意)は状況次第で認められないケースもあり
  • 説明は丁寧かつ記録に残すことが重要

📌 ポイント: 時間がなくても「説明→納得→記録」の流れを忘れずに。


⚠️落とし穴②:応急処置でも「医師法違反」になることがある?

● 背景

「医師法第17条」により、医師でなければ医業をしてはならないとされています。
つまり、看護師が“独断”で診断・治療行為を行うと違法になる可能性があります。

● 具体例

  • 医師不在時に注射や投薬を判断して実施
  • 外傷に対して勝手に縫合などを行う
  • 「○○という病気です」と診断的な発言をしてしまう

● 例外あり

災害現場や生命の危機など緊急避難的な状況では認められることも。

📌 ポイント: あくまで医師の指示下での実施が基本。指示は文書か記録に残す。


⚠️落とし穴③:SNSやブログでの投稿が「個人情報漏洩」に?

● 背景

個人が特定されるような情報を、SNSやブログで発信することは「個人情報保護法」に違反する可能性があります。

● 危険な例

  • 「今日の○○病院での出来事」など勤務先がわかる内容
  • 病状・年齢・性別などをセットで記載
  • 写真付きで病棟内の様子をアップする

● 誤解しやすいポイント

「名前を書いてないから大丈夫」→ ✕
「フォロワーが少ないからバレない」→ ✕

📌 ポイント: 医療現場の投稿は一切NGと考えるのが無難です。


⚠️落とし穴④:患者とのLINEや個人的連絡は“セクハラ・パワハラ”に?

● 背景

患者との私的な連絡やコミュニケーションは、「立場の違い」を利用した行為と見なされることがあります。

● 問題になる行為

  • 勤務外に患者へLINEを送る
  • SNSでの個人的なやり取り
  • 親しみのある言葉でも受け手によってはハラスメントに

● トラブル例

  • 相談を受けたつもりが「プライベートに踏み込まれた」と解釈される
  • 好意と取られ、逆にストーキング化する事例も…

📌 ポイント: 患者とのやり取りは「記録に残る公的な手段」で、「業務時間内に」行うのが鉄則。


⚠️落とし穴⑤:「ヒヤリ・ハット」を報告しなかった結果、過失責任が拡大?

● 背景

ヒヤリ・ハット(重大事故には至らなかったが危険だった事例)も、医療法上の“報告義務”に該当することがあります。

● 見逃しがちなリスク

  • 小さなミスだからと自己判断で未報告
  • 「自分が怒られそう」で隠してしまう

結果的に、同様の事例が再発して大きな事故に至った場合、「報告義務違反」として法的責任が拡大することも。

📌 ポイント: ヒヤリ・ハット報告は“安全文化の礎”。個人攻撃ではなく、全体の質向上のための制度。


まとめ|「法律を知らない」はリスクそのもの

看護師は専門性の高い職業ですが、その行動は**「法的責任」と常に隣り合わせ**です。
逆に言えば、正しい法知識を持つことで、自分を守り、現場を守る力が手に入るということでもあります。

🧠 法律は盾になる。
患者の命を守ると同時に、自分の職業人生を守る知恵として、
「医療×法律」を日常業務の中で意識していきましょう。