✅はじめに:「保険って、結局ムダなの?」という素朴な疑問
多くの人が「保険」に加入しています。生命保険、医療保険、がん保険…その種類も実に多様です。しかしふと、こんな疑問が頭をよぎることはないでしょうか?
「健康なら使わないし、お金も戻らない。じゃあ保険ってムダなんじゃない?」
実際に、保険に一度も使わずに解約する人も多く、“保険=掛け捨てで損するもの”という印象が強いのも事実です。
では本当に「健康な人」は保険に入らない方が得なのでしょうか?
今回は、「保険の損得勘定」と「保険の本質」について、あらためて深掘りしていきます。
🧮保険の基本構造:「損する人がいるから成り立つ」ビジネスモデル
まず保険という仕組みを簡単に説明しましょう。
● 仕組みをざっくり言うと…
- たくさんの人が保険料を出し合い
- 万が一のときに「困った人」に支払われる
つまり、**“使わなかった人のお金で、使う人を助ける”**仕組みです。
この構造を一言で表すと、「相互扶助」。損得で見ると、**健康で何も起こらなかった人は“払い損”**になるわけです。
● 例:100人で保険を作ったら?
- 毎月5,000円ずつ集めたら、1年で 5000×12×100=600万円
- そのうち1人だけが手術し、200万円支給
- 残りの400万円は保険会社の運営費と利益に
つまり99人はお金を払っただけで1円も得しない。
このように、「保険を使わなかった人が損をする」ことが前提となっているビジネスなのです。
📉「健康な人ほど損をする」は本当なのか?
では、健康な人は絶対に損なのでしょうか?
実は、「損得」で見れば“そのとおり”かもしれません。
● 実際にどのくらい使われていないのか?
- 日本の民間医療保険加入率:約8割
- 医療費自己負担平均:年間5〜7万円前後(高齢者を除く)
- 医療保険給付額平均:約12万円前後/年(保険金受取者のみ)
つまり、ほとんどの人が保険を使わないか、使ってもトントン以下。
しかも高額医療費制度や自治体の補助もあるため、保険がなくても自己破産になるほどの医療費になるケースは少ないのです。
🧠それでも保険が“必要”と言われる理由
「じゃあ保険なんてやっぱりいらないよね」と言いたくなりますが、そう簡単ではありません。
● “保険=安心”という心理的価値
人はリスクを避けたがる生き物です。
宝くじは「当たるかも」で買い、保険は「当たってほしくないけど起きたら困る」で買います。
つまり、保険は「もしものときの安心感」を買うもの。
● 万が一の金額が“大きすぎる”リスクのカバー
たとえば…
- 手術+入院+通院:合計で100万円超
- がん治療:月20万円以上の自己負担が継続することも
- 働けなくなったときの収入ダウン(障害やうつ病など)
こうした「人生が狂う規模」のリスクに備えるために、“貯金では足りない部分”を保険でカバーするのが基本の考え方です。
🏦保険より貯金が大事?“自分保険”という考え方
最近では、保険よりも「貯金」「投資」で自分を守るべきという意見も増えています。
● 保険と貯金を比較してみると…
比較項目 | 保険 | 自分で貯金 |
---|---|---|
即時の大きな支払いに対応 | ◎ | △(不足しがち) |
使わなかった場合 | ×(掛け捨て) | ◎(そのまま残る) |
精神的な安心感 | ○ | △(自己責任) |
柔軟性(使い道の自由) | × | ◎ |
つまり、少額の病気・ケガに対しては貯金でカバーし、大きなリスクだけを保険で補うという「ミックス戦略」が合理的です。
💡“保険は必要だけど、入りすぎはNG”という真実
日本人は「保険好き」と言われます。保険料の平均支出は月約3〜4万円。
ですが、実際に必要な保険は限られています。
● 本当に必要な保険の例
- 生命保険(家族がいる人)
- 就業不能保険(働けなくなるリスク)
- がん保険 or 高額医療補償
この3つ以外は、実際は**「貯金でなんとかなる」レベルの出費**が多く、掛け捨て保険で損をするリスクが高いです。
🔍まとめ:「損」か「安心」か、保険の価値は人それぞれ
保険を“損か得か”だけで語るのは非常に難しい問題です。
たしかに、健康な人ほど「保険を使わない=損をする」構造にはなっています。
しかし、保険が果たしているのは**“金銭的補償”ではなく“精神的な補償”**という側面も大きいのです。
あなたにとっての「保険の価値」がどこにあるのか?
“ムダ”ではなく、“必要最小限の安心”を手に入れるために、今一度保険との付き合い方を見直してみてはいかがでしょうか。