はじめに|「変動が安いから…」その判断、危険です。
住宅ローンやマイカーローンなど、人生の中で大きな金額を扱うローンにおいて、
**「固定金利と変動金利、どちらを選ぶべきか?」**は非常に重要な分岐点です。
しかし、多くの人が「なんとなく金利が安いから」と変動型を選び、**将来の金利上昇で家計が破綻寸前に…**というケースも少なくありません。
この記事では、「金利タイプの選択」があなたの人生に与える本当の影響を、リスク・シミュレーション・心理面など多角的に解説します。
そもそも金利の仕組みとは?
🧠 固定金利とは?
- 借入時点で返済終了までの金利が“固定”されている
- 将来の金利上昇リスクがなく、計画が立てやすい
- 初期金利はやや高め
🔄 変動金利とは?
- 半年ごとに金利が見直される(ただし返済額の見直しは5年ごと)
- 初期金利は低く魅力的だが、金利が上昇すると返済額も増加
- 将来の金利上昇を“自分が背負う”契約
金利の違いが家計に与えるインパクト
仮に、3,000万円を35年ローンで借りるケースで比較してみましょう。
金利タイプ | 年利 | 月々の返済額 | 総返済額 |
---|---|---|---|
固定金利 | 1.5% | 約91,000円 | 約3,830万円 |
変動金利 | 0.5% | 約77,000円 | 約3,250万円 |
※変動が将来2%に上昇 | 2.0%平均 | 約104,000円 | 約4,300万円超 |
→ 初期は安く見える変動金利でも、金利が上がれば固定より総返済額が大幅に増えることも。
なぜ変動金利が人気なのか?3つの理由
- 目先の返済額が安く見える
月々の支払いを抑えたいという心理が働きやすい。 - 「金利なんてそんなに変わらない」と思い込んでいる
ここ10年間の低金利時代に慣れきっているため、将来の上昇を軽視しがち。 - 住宅営業マンや銀行員に勧められたまま契約してしまう
「今なら変動の方が人気ですよ」と言われ、深く考えずに選んでしまう。
→ これらは全て、「短期視点」「感覚判断」による落とし穴です。
金利が上がるとどうなる?家計破綻の構造
変動金利を選んだ場合、金利上昇時には以下のことが同時に起こります:
- 月々の返済額が増加
- 利息分の割合が大きくなり、元本が減らない
- 将来の繰上げ返済が困難に
- 子育て・老後資金に影響
- 精神的ストレスが慢性化
たとえば金利が1%上昇しただけで、年間数十万円の返済増になるケースも。
これが20〜30年続けば、家計はじわじわと“沼”に沈んでいきます。
住宅ローン破綻者の共通点とは?
破綻に至る人たちの多くは、以下のような特徴を持っています:
- 変動金利を選んでいた
- ボーナス払いを組み込んでいた
- 返済額ギリギリの生活設計をしていた
- ライフプラン(教育費・老後資金)を計算していなかった
- 将来の金利変動を楽観視していた
つまり、「今の数字だけ」で判断し、「変動するリスク」を軽視した結果なのです。
変動金利が向いている人・向いていない人
✅ 変動金利が向いている人
- ローンの期間が短い(10年以内)
- 手元に十分な現金や投資資産がある
- 金利が多少上がっても問題ないほど家計に余裕がある
- 自営業などで収入の波が大きくてもコントロールできる
❌ 変動金利が向いていない人
- 子育て中で将来の支出が読みにくい
- 会社員で収入が急には上がらない
- 緊急資金があまりない
- 数万円の増額で家計が不安定になる
固定金利のメリットと“安心の価値”
- 35年後まで支払い額が確定
- 家計の見通しが立てやすい
- 将来のインフレや経済変動に左右されにくい
- 精神的な安心感が非常に高い
たとえ金利が1〜1.5%程度高くても、不確定な将来への“保険料”と考えれば割安です。
まとめ|「目先」ではなく「完走」できる金利を選ぼう
固定か変動か――それは、“金利”を選ぶのではなく、“未来の安定”を選ぶことでもあります。
- 「今安いから変動」に飛びつかない
- 自分のライフプランに合う金利タイプを選ぶ
- 最悪のケースでも返済が続けられる設計にする
「金利が上がってから後悔しても遅い」
だからこそ、将来を見据えた慎重な判断が必要です。