映画『IT/それ』シリーズで描かれた恐怖の町・デリー。
ピエロの姿をした怪物ペニーワイズのインパクトは強烈でしたが、
同時に多くの人がこう感じたはずです。
「なぜ、この町ではあれほど多くの悲劇が繰り返されたのか?」と。
テレビシリーズ『IT:ウェルカム・トゥ・デリー』は、
その疑問に正面から向き合う前日譚です。
ただし本作は、怪物の正体を分かりやすく説明したり、
映画のような派手な恐怖を連発したりはしません。
代わりに描かれるのは、恐怖が町に根づいていく過程、
そして人々が「見て見ぬふり」を選び続けた結果です。
英語圏のレビューを見ても、本作の評価ははっきり分かれています。 「怖くない」「テンポが遅い」という否定的な声がある一方で、 「これはホラーではなく、恐怖についての物語だ」 「見終わってから評価が上がった」という意見も少なくありません。 それだけ、このシリーズは見る人の期待や向き合い方を強く問う作品だと言えます。
本記事では、『IT:ウェルカム・トゥ・デリー』全8話を見終えた視点から、 英語圏のレビューやネット上の反応をもとに、 作品が何を描き、どこで賛否が分かれたのかを整理していきます。 普段あまりドラマを見ない人でも理解しやすいよう、 難しい言葉は避けつつ、内容はしっかり深掘りします。
この記事はストーリーの核心に触れるネタバレありの内容です。 未視聴の方はご注意ください。
『IT:ウェルカム・トゥ・デリー』とは? 🎈🏚️
『IT:ウェルカム・トゥ・デリー(It: Welcome to Derry)』は、スティーヴン・キング原作『IT/それ』の世界を “町そのものの恐怖”として掘り下げるテレビシリーズです。 映画版『IT』『IT/それが見えたら、終わり。』でおなじみの舞台「デリー」は、表向きは普通の田舎町なのに、 なぜか一定の周期で子どもが消え、事故や暴力が増え、住民の心が荒れていく――そんな不気味なクセを抱えています。 本作は、その“クセ”がどこから来たのか、そして町がどうやって目をそらし続けてきたのかを、 8話かけてじわじわ解き明かしていきます。
この記事は全8話を見終えた前提で話します。第1章では大きく流れが分かる範囲のネタバレに留めますが、 「誰が何を目撃し、町がどう動くか」といった物語の核心に触れる話題も出ます。未視聴の方はご注意ください。
本作は「ペニーワイズがまた出てくる怖い話」だけではありません。ポイントは、 怪異(おばけ)と同じくらい、人間の見て見ぬふりが怖いこと。 デリーでは昔から、事件が起きても「なかったこと」にされやすく、噂は消え、記録は曖昧になり、 被害者の声は小さく扱われます。シリーズはその空気を、学校・家庭・職場・地域行事など “普通の場面”に混ぜ込んで見せるので、ホラーが苦手でもミステリーとして追いやすい作りです。
主役は特定のヒーローではなく、デリーという町そのもの。 子どもの失踪、火事、事故、差別、家庭内のゆがみ――別々の出来事に見えて、 どこかで同じ根っこにつながっているような感覚が続きます。 視聴後に振り返ると「最初から町が“そういう方向”へ人を押していた」ように見えるのが怖さの核。 怪異の正体より先に、町の空気がじわじわ不安を増やしていきます。
物語の中心は、日常の中で「この町、何かおかしい」と気づき始める若者・子どもたちです。 大人は忙しさや偏見、立場の都合で目をそらしがちですが、子どもは“怖いもの”を まっすぐ怖がれるぶん、異変を拾いやすい。だからこそ彼らは、偶然の目撃や噂話をつなぎ合わせて 「消えた子たち」「繰り返される災い」の輪郭に近づいていきます。 この“気づき→確信→行動”の流れが、ホラー初心者でも理解しやすい導線になっています。
急に大音量で驚かせる怖さ(ジャンプスケア)だけで押し切るのではなく、 「日常がゆっくり壊れていく」描き方が強めです。 たとえば、同じ場所に何度も出てくる“嫌な象徴”、説明がつかない一致、町の人の表情の変化など、 小さな違和感が積み重なって、気づいたときには逃げ場がなくなる。 そして“ペニーワイズ的な存在”は、ただの怪物ではなく、恐怖をエサにする仕組みとして機能します。
- 前日譚=答え合わせの快感:映画や原作を知っていると「それがここにつながるのか!」が増えます。
- 知らなくてもOK:本作は「デリーって何?」からでも追えるよう、事件の因果を丁寧に積み上げます。
- “怪異”と“人間”の二重構造:怖いのは幽霊だけじゃない。人の心の弱さも同じくらい恐い。
- 全8話の見どころ:序盤は不穏さの仕込み、中盤で町の過去が見え、終盤で「デリーのルール」がはっきりします。
『IT:ウェルカム・トゥ・デリー』は、ペニーワイズの恐怖を“派手さ”だけでなく、町の空気・人の鈍さ・歴史の積み重ねとして描くシリーズです。 だからこそ、見終わったあとに残るのは「怖かった」だけでなく、 「この町、最初から詰んでたのでは…?」という後味の悪さ。次章では、この“後味”が英語圏のレビューでどう語られたかを、肯定・否定の両面から整理していきます。🕯️
全体的な評価まとめ 🧠🎈
英語圏の批評(大手メディアのレビュー、最終話の解説記事、視聴者の反応まとめ)を
追加で追った上での結論はこれです:
「映画版の“怖さ”を期待して入ると好みが割れる。でも“デリーという町の闇”をドラマで味わいたい人には刺さる」。
全8話を見終えると、“ただの前日譚”ではなく、映画本編につながる空気とルールを作り上げることが主目的だった、と分かります。
大手レビューではまず、撮影・美術・音の完成度がよく話題になります。 1962年の空気(看板、車、制服、室内の色味)が「作り物っぽくない」ので、町の不穏さがちゃんと生活に染みて見える。 さらに、ペニーワイズは出番を絞る代わりに、“いるかもしれない”圧で支配する描き方。 これが「派手じゃないのに落ち着かない」という評価につながっています。
- セット/小道具が“時代ドラマ”として説得力
- 暗さより「日常の中の異物感」で怖がらせる
- オープニングや演出の“映画感”が強い
英語圏記事で特に目立つのは、若いキャストの“群像”がちゃんと成立している点。 「誰が主役か分かりにくい」という声がある一方、見終えると “この町で生き残るための役割分担”が見えてくる作りです。 また、ある大人キャラ(超常の力を持つ人物)の描写は、最終話での精神的な追い詰められ方も含め 「シリーズの背骨」として語られがちです。
- 子ども同士の友情が“軽くない”
- 大人側のドラマがホラーの土台になる
- 終盤で「選択」が重く効いてくる
8話を通して分かるのは、デリーが怖い理由は怪物だけではなく、 町が“事件を忘れさせる/矮小化する”方向に人を動かすこと。 最終話後の解説記事では、ここが映画本編への橋渡しとして強調されます。 「どうして住民は異変に気づけないの?」という疑問に、 ドラマなりの答えを積み上げた点が評価されています。
- “見て見ぬふり”が感染する町として説得力
- 差別や暴力が怪異に利用される構造
- 映画本編での“忘却”の伏線として機能
いちばん割れやすいのはここです。 前半は「情報を撒く」「人物を揃える」時間が長く、怖さも“薄い霧”みたいに広がるタイプ。 だから、ホラーとしての即効性を求める層は「盛り上がらない」と感じやすい。 一方で、最終話の解説やレビューでは 「8話まとめて一本」として評価が持ち直す例も多いです。
- 前半:不穏さの仕込み(地味に感じる人も)
- 後半:事件と因果が繋がって加速
- 怖さ=ジャンプより“後味”重視
否定的レビューで出やすいのは、①一部の視覚表現(VFXや見せ方)が“浮く” ②登場人物が多くて薄く感じる ③「説明しすぎ/逆に説明しなさすぎ」の揺れ、の3つです。 ただ、最終話後の考察では「説明しきらない」こと自体が、 デリーの恐怖=言葉にできないもの、というテーマに沿っている…という擁護も見られます。
- VFXの当たり外れで没入が切れる瞬間がある
- 群像ゆえに“推しキャラ”が薄いと感じる人も
- 説明のバランスが、好みで評価を割る
本作の評価は「怖いかどうか」より、“デリーの闇を、丁寧に眺めるのが好きか”で決まりやすいです。 映画のノリを期待して入ると「違う」と感じる可能性がある一方、 “町の歴史”や“人間の弱さ”を含むホラーが好きなら、見終わった後に評価が上がりやすい作品です。
この章では「全体の評価の地図」を描きました。次の第3章では、 英語圏レビューで特に多かった肯定的な口コミを、 もっと具体的に「どの要素が刺さったのか?」という形で深掘りします。🎈
肯定的な口コミ・評価 👍🎈
英語圏レビューを詳しく見ていくと、『IT:ウェルカム・トゥ・デリー』を 高く評価している人たちには、はっきりした共通点があります。 それは「怖さの量」ではなく、怖さの質と意味を重視していること。 ここでは、特に多く語られていた肯定的なポイントを整理します。
好意的なレビューで最も多いのは、「派手ではないのに落ち着かない」という感想です。 ペニーワイズが頻繁に襲ってくるわけではなく、日常の中に少しずつ不安が混ざる描き方が、 「現実にありそうで怖い」と評価されています。 特に、子どもが感じる違和感と、大人がそれを打ち消す態度の差が、 視聴者に強いストレスと緊張感を与えたという声が目立ちます。
- 静かな場面ほど不安になる
- 後から思い出して嫌になるタイプの怖さ
- ホラーが苦手でも最後まで見られた
英語圏では、「このシリーズの本当の怪物はペニーワイズではない」という意見も多く見られます。 デリーという町が、事件をなかったことにし、人々を無関心にしていく構造こそが恐怖だ、という評価です。 この視点は原作ファンから特に支持され、 映画では描き切れなかった“町の病理”を補完したと好意的に受け止められています。
- 差別や偏見が怪異を強める描写
- 「忘れる町」という設定の説得力
- 前日譚として非常に納得感がある
主人公グループの描かれ方についても、肯定的な意見が多く集まっています。 彼らは勇敢なヒーローではなく、不安を抱え、間違え、時に逃げます。 その姿が「リアルで感情移入しやすい」と評価され、 友情や恐怖が軽く扱われていない点が好印象を残しました。
- 子ども同士の会話が自然
- 恐怖への反応が誇張されていない
- 後半での成長が納得できる
ペニーワイズの登場回数が少ないことを、 あえて長所として挙げるレビューも目立ちます。 直接姿を見せるよりも、「もうすぐ来るかもしれない」という圧力をかけ続けることで、 存在感を保っている点が評価されています。 映画とは違うアプローチだからこそ、新鮮に感じたという声もあります。
- 出ないからこそ怖い
- 安売りしない怪物表現
- 前日譚として説得力がある
肯定的な口コミをまとめると、本作は 「怖がらせ方が大人向け」だと評価されているシリーズだと言えます。 即効性の恐怖より、町・人間・歴史が積み重なる不安を楽しめる人ほど、 見終わった後の満足度が高くなる傾向があります。 次章では、こうした評価と正反対の否定的な口コミを整理し、 どこで評価が割れているのかを見ていきます。
否定的な口コミ・評価 👎🕯️
『IT:ウェルカム・トゥ・デリー』は評価が高い一方で、 英語圏レビューでは明確な不満点も数多く指摘されています。 特に多いのは、「ホラーとして期待していた内容と違った」という声です。 ここでは、否定的な口コミで繰り返し語られているポイントを整理します。
最も多く見られる否定的意見は、「怖さが足りない」というものです。 映画版『IT』のような強烈なショックや、分かりやすい恐怖演出を期待すると、 本作はどうしても物足りなく感じられます。 英語圏では「ホラーというより暗いドラマ」「不気味ではあるが恐ろしくはない」 と表現されることが多く、ジャンプスケア重視の人ほど評価が下がりがちです。
- 叫びたくなる怖さは少ない
- 緊張感が持続しないと感じる人も
- ホラーより社会派ドラマ寄り
テンポの遅さも大きな不満点です。 特に前半エピソードでは「同じような不穏シーンが続く」 「話が進んでいないように感じる」という声が多く見られます。 全8話を通して見る前提の作りなため、 週1配信で追っていた視聴者ほどストレスを感じたという意見も目立ちます。
- 前半で脱落した人が一定数いる
- 情報の出し方が回りくどい
- 一気見前提の構成
群像劇として描かれる一方で、「誰に感情移入すればいいか分からない」 「気づいたら名前を覚えられないまま終わった」という意見もあります。 特にサブキャラクターは掘り下げが足りないと感じられやすく、 死や退場の場面が強く響かなかった、という評価につながっています。
- 登場人物の整理が難しい
- 主人公が曖昧に感じる
- 感情の盛り上がりに欠ける場合がある
肯定的に評価されることも多い「控えめなペニーワイズ」ですが、 逆にそれを欠点と捉える声も少なくありません。 「ITのスピンオフなのに、看板キャラがあまり活躍しない」 「もっと狂気を見たかった」という不満が、 映画ファンほど強く出る傾向があります。
- 期待していた怪物像と違う
- 印象に残るシーンが少ないと感じる人も
- ドラマ独自色が裏目に出た例
否定的な口コミを総合すると、本作は 「映画版『IT』の延長」を期待するとズレを感じやすいシリーズです。 怖さ・テンポ・キャラクター性のいずれも、 好みが合わない人には最後まで刺さらない可能性があります。 次章では、こうした賛否が特に集中したネットで盛り上がったポイントを見ていきます。
ネットで盛り上がったポイント 🔥🗣️
『IT:ウェルカム・トゥ・デリー』は、配信中から最終話公開後まで、 英語圏のSNSや掲示板で考察・議論が活発に行われたシリーズです。 ここでは、特に話題になったポイントを整理し、 「なぜ盛り上がったのか?」を分かりやすく解説します。
最も多く語られたのは、ペニーワイズの関与範囲についてです。 直接姿を現さない事件でも、 「これはペニーワイズの影響なのか?」「人間だけの悪なのか?」 という議論が繰り返されました。 特に最終話を見終えた後は、 “町全体が支配下にある”という解釈が有力になっています。
📈 SNSで多かった声- 怪異と人間の暴力の境界があいまい
- ペニーワイズは直接手を下さない方が怖い
- 影響は無意識レベルまで及んでいる
ネット上では、「デリーという町そのものが呪われているのか」 それとも「怪物が周期的に訪れているだけなのか」という 世界観の解釈を巡る議論が盛り上がりました。 ドラマは明確な答えを出さないため、 視聴者ごとに異なる読み取りが生まれやすくなっています。
📈 考察で多かった視点- 町が怪物を“育てている”という解釈
- 人々の無関心が呪いを完成させる
- 逃げられない構造そのものが恐怖
「なぜこの人物は助かり、なぜこの人物は犠牲になったのか」 という点も、頻繁に語られました。 単なる運ではなく、恐怖への向き合い方や 町の空気に流されたかどうかが鍵だという考察が多く見られます。
📈 視聴者の読み解き- 疑問を持ち続けた人物は生き残りやすい
- 「見て見ぬふり」を選んだ者は危険
- 勇気よりも“拒否しない姿勢”が重要
前日譚である以上、映画『IT』との接続は最大の関心事でした。 小道具や台詞、出来事の反復が発見されるたびに、 「これは後のあのシーンにつながるのでは?」という 投稿が数多く共有されています。
📈 盛り上がった要素- 繰り返される場所・数字・象徴
- “忘却”というテーマの補強
- ロサーズ・クラブ誕生への土台
ネット上で盛り上がったポイントを振り返ると、 本作は「正解を提示しない作り」だからこそ議論が続いたシリーズだと言えます。 ペニーワイズ、町、そして人間の関係をどう解釈するかで、 見え方が大きく変わるのが特徴です。 次章では、こうした議論の中でも特に多かった 「疑問に残ったシーン」を整理していきます。
疑問に残るシーン ❓🕯️
『IT:ウェルカム・トゥ・デリー』は、多くを説明しすぎない構成が特徴です。 そのため英語圏レビューやSNSでは、 「あれは結局どういう意味だったのか?」という疑問が数多く残りました。 ここでは特に話題になった“分かりにくいシーン”や “解釈が分かれたポイント”を整理します。
終盤で示唆される、ペニーワイズの振る舞いについて 「まるで未来の出来事を把握しているようだ」という指摘が多く見られました。 これは、時間を直線で生きる存在ではなく、 周期的に同じ歴史をなぞる存在だからではないか、 という考察につながっています。
- 予知能力なのか、経験の積み重ねなのか不明
- 原作設定との解釈違いが生まれやすい
- “知っているように見える”演出が意図的
デリーの大人たちが異常に鈍感、あるいは冷酷に見える場面が続きます。 これについて「完全に操られているのか」 「単に恐怖や偏見が増幅されているだけなのか」 という点で意見が分かれました。
- 超常的支配か、心理的影響かが曖昧
- “操られている”と断定しない描写
- 人間側の責任を残す構造
なぜある人物は生き残り、別の人物は命を落としたのか。 明確なルールは語られず、 視聴者の間で「恐怖に抗ったから?」 「町に流されたから?」など様々な解釈が生まれました。
- 偶然に見せかけた“選択”の差
- 勇敢さより姿勢が問われている
- 善悪では割り切れない基準
本作では、ペニーワイズの起源や本質が あえて断片的にしか示されません。 これを「物足りない」と感じる人もいれば、 「説明しないから怖い」と評価する人もいます。
- 完全な答えを出さない方針
- 原作・映画への余白を残す
- 前日譚としての役割を優先
疑問に残るシーンが多いことは、本作の弱点であると同時に、 考察が盛り上がる理由でもあります。 すべてを理解できなくても、 「分からない不気味さ」を受け入れられるかどうかが、 本作を楽しめるかの分かれ目と言えるでしょう。 次章では、これらの疑問も含めて、 作品全体をどう受け取るべきかをまとめます。
考察とまとめ 🧠🎈
『IT:ウェルカム・トゥ・デリー』を全8話見終えたあとに浮かび上がるのは、 「この物語は何を描きたかったのか?」という問いです。 英語圏レビューや考察を総合すると、本作はペニーワイズの物語というよりも、 “恐怖が町に根づく仕組み”を描いたドラマだと受け取られています。
本作最大のポイントは、怪物を前面に出さず、 デリーという町そのものをゆっくり壊れていく存在として描いた点です。 差別、暴力、無関心、恐怖から目をそらす習慣―― それらが積み重なることで、ペニーワイズのような存在が “住みやすい環境”を作ってしまう。 この構造を8話かけて見せたことが、評価の軸になっています。
子どもたちは純粋なヒーローとして描かれません。 むしろ、町の空気に馴染みきれない異物として存在しています。 だからこそ彼らは違和感に気づき、 町の「いつものやり方」に飲み込まれずに行動できた。 これは映画版のロサーズ・クラブにつながる、 重要な思想的土台だと考察されています。
多くの考察で語られるのが、 ペニーワイズは恐怖の原因ではなく、 町に溜まった恐怖や暴力の結果ではないか、という視点です。 人間の弱さや残酷さが続く限り、 形を変えて現れ続ける存在―― そう考えると、本作の控えめな描写にも納得がいきます。
疑問が多く残る構成は、未完成ではなく意図的だと見る声が多数です。 すべてを説明してしまえば、 デリーの恐怖は“理解できるもの”になってしまう。 本作はあえて余白を残すことで、 分からないまま続く恐怖を体感させています。
『IT:ウェルカム・トゥ・デリー』は、 派手なホラーや分かりやすい恐怖を求める人には合わないかもしれません。 しかし、町・人間・歴史が絡み合って生まれる 静かで逃げ場のない恐怖を描いた作品としては、 非常に意欲的なシリーズです。
映画『IT』を見た人にとっては、 「なぜデリーはあそこまで壊れていたのか」を理解する補助線となり、 未見の人にとっては、 “恐怖は怪物だけから生まれるわけではない”という、 後味の悪い問いを残すドラマとして記憶に残るでしょう。

