介護業界で転職を考える際、「どの施設で働くか」は大きな分かれ道になります。
同じ介護職といっても、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、デイサービス、訪問介護など施設形態によって働き方や雰囲気は大きく異なります。
求人票だけでは見えにくい「働きやすさの違い」を知ることは、転職後のミスマッチを避けるために重要です。本記事では、代表的な介護施設ごとの特徴を徹底解説し、自分に合った働き方を見極めるための視点を提供します。
特別養護老人ホーム（特養）
- 特徴
要介護度が高い高齢者が多く、長期的な入所が中心です。24時間体制で介護が必要なため、夜勤シフトは必須です。 - 働きやすさのポイント
介助のスキルを幅広く習得でき、現場経験を積みたい人には最適。ただし身体介助の負担が大きく、体力面の覚悟が必要です。夜勤に強い人や介護福祉士を目指す人に向いています。
介護老人保健施設（老健）
- 特徴
病院と自宅の中間地点のような役割を担い、在宅復帰を目指す利用者が多いのが特徴です。医師や看護師と連携しながらリハビリにも関わります。 - 働きやすさのポイント
医療職と協働できるため、医療知識を身につけたい人に適しています。ただし在宅復帰を前提としているため、利用者の入れ替わりが比較的多く、環境変化に対応する柔軟性が必要です。
グループホーム
- 特徴
認知症高齢者が少人数で共同生活を送る施設です。家庭的な雰囲気の中で介護を行うのが特徴です。 - 働きやすさのポイント
少人数制のため、利用者との距離が近く、じっくり関わることができます。一方で夜勤がある場合が多く、少人数ゆえに一人で複数の役割を担う必要があります。家庭的な雰囲気を大切にしたい人に向いています。
デイサービス（通所介護）
- 特徴
日中のみサービスを提供し、送迎・入浴・食事・レクリエーションを中心に行います。夜勤はありません。 - 働きやすさのポイント
規則正しい生活ができ、育児や家庭との両立に適しています。ただし介助だけでなくレクリエーション企画や送迎業務もあり、多様なスキルが求められます。体力よりもコミュニケーション力を発揮したい人に最適です。
訪問介護
- 特徴
利用者の自宅を訪問し、身体介護や生活援助を行うサービスです。基本的には1対1で支援を行います。 - 働きやすさのポイント
夜勤は少なく、自分のスケジュールに合わせて働きやすいのが魅力です。ただし、移動が多く、孤独感を感じやすいというデメリットもあります。利用者との関係を深めたい人や個別ケアを大切にしたい人に向いています。
小規模多機能型居宅介護
- 特徴
通い・訪問・泊まりを組み合わせて提供する施設です。地域密着型サービスとして利用者や家族とのつながりが強いのが特徴です。 - 働きやすさのポイント
複数のサービスを担当するため幅広いスキルが身につきます。その反面、勤務形態が複雑でシフトも変則的になることが多く、柔軟性が求められます。
サービス付き高齢者向け住宅（サ高住）
- 特徴
比較的介護度の低い高齢者が入居する住宅型施設です。安否確認や生活支援が中心で、医療や介護サービスは外部事業所が提供する場合が多いです。 - 働きやすさのポイント
身体介助よりも生活支援や見守りが中心で、身体的負担は比較的軽めです。ただし急変時の対応力は求められます。
職場選びのチェックポイント
転職者が自分に合った施設を選ぶためには、次の点を意識することが大切です。
- 夜勤の有無やシフト体制を確認する
- 利用者の要介護度や入所期間を把握する
- 医療職との連携が多いかどうか
- 家庭との両立が可能か
- 自分が磨きたいスキルに合致しているか
求人票だけでは分からない部分が多いため、見学や面接で雰囲気を確認することも重要です。
たとえで理解する「施設形態の違い」
施設形態の違いを旅行にたとえると、特養は「長期滞在型ホテル」、老健は「短期滞在型リハビリ施設」、グループホームは「シェアハウス」、デイサービスは「日帰りツアー」、訪問介護は「個別ガイド付き旅行」のようなものです。どこで働くかによって求められる役割や働き方がまったく異なるのです。
まとめ 自分に合った施設形態を選ぶことが転職成功の鍵
介護業界にはさまざまな施設形態があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
「利用者と長く関わりたい」「家庭と両立したい」「医療知識を学びたい」など、自分の希望やライフスタイルに合った施設を選ぶことで、働きやすさが大きく変わります。
転職の際は給与や通勤距離だけでなく、「施設形態の特徴」をしっかり理解したうえで選ぶことが、長期的に安定して働ける職場につながるのです。
