ジョディ・フォスターが全編フランス語で挑む！映画『Vie Privée』最新情報まとめ

リリアンは穏やかで理知的、患者の心の“奥”まで伴走するタイプの名医です。ところが、担当患者の急逝が彼女のバランスを崩します。カルテに残る断片、会話の記憶、家族や友人の証言…それらをつなぎ合わせるほどに、「これは自死と断定できない」という確信が強まります。
専門家としての“距離”を守るべきという倫理と、「真実を明らかにしたい」という人間的な衝動の板挟みになりながらも、彼女は患者の足跡をたどりはじめます。診察記録を頼りに訪ねるのは、洗練されたパリのマンション、静まり返った郊外の家、海風が吹き抜ける避暑地…。
調べを進めるうちに、亡くなった患者の周囲には、それぞれが守りたい“境界線”があることが分かってきます。表向きの良好な関係、胸の内にある嫉妬や負い目、誰にも言えなかった弱さ──そして、誰かが意図的に隠しているかもしれない事実。リリアンが踏み込めば踏み込むほど、「人はどこまで他者に関与していいのか」という問いが彼女自身に跳ね返ってきます。

• リリアン・シュタイナー：精神科医。冷静沈着だが、真相探求への衝動が強い。“距離”と“誠実”の葛藤
• 患者の近親者／知人：外からは見えない“関係の継ぎ目”を抱え、情報の鍵を握る。証言のズレ
• 職場の同僚・医療関係者：倫理順守の立場からリリアンを引き止める存在でもあり、支えでもある。境界線の再確認

キャストはフランスの名優陣が並び、会話だけで空気を変える演技が随所で光ります。セリフの裏にある“言わない情報”にも注目。

洗練された都会の生活感と、どこかひんやりした距離感。そのコントラストが作品全体の“温度”を決めています。光がよく回る診察室、静謐な住宅街、海辺の景色──開放的な場所ほど秘密が際立つように見えるのが印象的。音や間（ま）の扱いも繊細で、心のざわつきを画面の静けさで表現します。

• 上映時間は約105分。会話中心でもテンポは軽やか。
• 心理劇とミステリーの中間にある物語構造。どちらの見方でも楽しめます。
• テーマは「公／私／秘密」の重なり。タイトルの“プライベート”は物語の鍵。